【ビルメン20年の本音】その宿直、タダ働きかも?仮眠時間でも残業代が出る”ヤバい”カラクリ、元請けは教えてくれません。

「ビルメンの宿直手当って、なんでこんなに安いんだ…?」夜通し拘束されて、仮眠中もいつ鳴るかわからない警報にビクビク。そんな働き方に、長年疑問を感じていませんか?この記事を読めば、あなたが当たり前だと思っていたその「宿直」が、実は残業代を請求できる「労働」に当たる可能性がわかります。20年以上この業界で働き、数々の現場を見てきた私が、法律の知識ゼロでも理解できるように、宿直と残業代の仕組みを徹底解説。この記事を最後まで読めば、あなたは会社から正当な対価を受け取るための武器を手に入れることができるでしょう。
- 結論:ビルメンの宿直は「グレー」じゃない。残業代が出る「3つの条件」
- 会社の「宿直許可」は免罪符じゃない!労働基準法の落とし穴とは?
- 【実録】俺が経験した「これは完全にアウトだろ…」な宿直現場ワースト3
- 明日からできる!残業代をきっちり貰うための「証拠集め」完全ガイド
- 自分の価値を安売りするな!ビルメンが賢く、長く働き続けるための思考法
1. 結論:ビルメンの宿直は「グレー」じゃない。残業代が出る「3つの条件」
「宿直は、緊急対応がなければ寝てていいんだから、手当が安くても仕方ない」 俺も若い頃は、先輩からそう教わって、何の疑いも持っていませんでした。宿直室の固いベッドで仮眠をとり、数千円の手当をもらう。それがビルメンの宿直の「当たり前」だと。
しかし、20年以上この仕事を続けてきて、様々な現場を経験し、法律のことも少しはかじるようになって気づいたんです。俺たちが「当たり前」だと思っていたその宿直の多くが、実は法律的に「労働時間」とみなされ、残業代(法律用語で言う「割増賃金」)を支払わなければならないケースだったということに。
これは決して「グレーゾーン」の話ではありません。法律で定められた、労働者の正当な権利の話です。
じゃあ、どんな宿直が「労働時間」になるのか?ポイントは大きく3つあります。
- ① 実質的に「その場から動けない」状態か? 宿直中、たとえ仮眠をとっていても、建物の外に出ることを禁止されていたり、常に警報盤を監視しなければならなかったりする場合。これは「待機時間(手待ち時間)」と判断され、立派な労働時間になります。「何かあったらすぐ対応しろ」という状態は、休憩時間とは全く意味が違うのです。
- ② 通常の業務と変わらない頻度で対応が発生しているか? 「宿直」とは、本来、ほとんど労働する必要がない状態を指します。それなのに、夜間に定期的な巡回が義務付けられていたり、仮眠時間中に何度も電話対応や現場確認に追われたりするようなら、それはもはや「宿直」ではなく「夜勤」です。月に1〜2回、緊急対応があるかないか、というのが本来の宿直の姿。あなたの現場はどうですか?
- ③ 会社の「許可」があっても、実態が伴っているか? 会社は「ウチは労働基準監督署から宿直の許可を得ているから問題ない」と言うかもしれません。しかし、その許可には「ほとんど労働する必要がない」という大前提があります。許可を取っていても、上記①や②のような実態があれば、その許可は意味をなさなくなり、労働時間として扱われるのです。
これらの条件に一つでも当てはまるなら、あなたの宿直は残業代請求の対象になる可能性が非常に高いと言えます。次の章では、この「会社の許可」という、多くのビルメンが騙されているカラクリについて、さらに詳しく解説していきましょう。
2. 会社の「宿直許可」は免罪符じゃない!労働基準法の落とし穴とは?
会社側が「うちは労基署の許可があるから、宿直手当だけで合法なんだ」と主張してきたら、多くの人は「そうなのか…」と引き下がってしまうかもしれません。確かに、「断続的な労働に従事する者」については、労働基準監督署長の許可があれば、労働時間や休憩、休日の規定が適用除外になる、というルールが存在します。
しかし、ここが重要なポイントです。この「許可」は、決して万能の免罪符ではありません。
労働基準監督署が許可を出す大前提は、**「常態としてほとんど労働する必要のない勤務」**であることです。具体的には、以下のような基準が示されています。
- 業務内容: 定期的な巡回や特殊な技術を要する業務、危険な業務ではないこと。あくまで、定時的な監視、緊急事態への備え、電話の受理などが主であること。
- 手当の額: 同じ事業場で同様の業務を行う労働者の、1日あたりの平均賃金の「3分の1以上」であること。(最低保障額です)
- 回数: 宿直の回数が、週に1回、月に4回程度が限度であること。
- 睡眠設備: 仮眠をとるための、適切な睡眠設備が整えられていること。
どうでしょうか。あなたの現場は、これらの基準を全て満たしていると胸を張って言えますか?
特に問題になりやすいのが、業務内容と手当の額です。 「夜間に2時間おきにボイラー室を巡回する」なんていうのは、どう考えても「ほとんど労働する必要のない勤務」ではありません。定期的な巡回は、明確な業務指示であり、労働時間です。
また、「宿直手当3,000円」という現場もよく聞きますが、あなたの会社の社員の1日あたりの平均賃金は9,000円未満ですか?もし平均賃金が12,000円なら、最低でも4,000円の手当がなければならない計算になります。
会社が労基署の許可を得ていたとしても、それはあくまで申請時の内容に基づいたもの。その後の実態が、許可基準からかけ離れていれば、その許可は無効となり、実態に即して労働時間が判断されるのです。
「許可があるから大丈夫」という会社の言葉を鵜呑みにせず、自分たちの働き方の実態と、法律で定められた基準を照らし合わせることが、自分たちの権利を守る第一歩になります。
3. 【実録】俺が経験した「これは完全にアウトだろ…」な宿直現場ワースト3
20年以上もこの業界にいれば、そりゃあ色々な現場を見てきました。今思えば「完全に法律違反だったな」と苦笑いしてしまうような宿直も山ほどあります。ここでは、俺が実際に経験したり、同僚から聞いたりした「アウトな宿直現場」のワースト3を、実録として紹介しましょう。皆さんの現場と比べてみてください。
第3位:仮眠室が物置状態!「ここで寝ろ」と渡されたのは銀マット一枚事件
とある商業施設の現場でした。防災センターの隣に一応「仮眠室」と書かれた部屋はあったんですが、中を開けてビックリ。使わなくなった机や椅子、書類の段ボールが山積みで、足の踏み場もない。 所長から「悪いな、ここで適当に寝てくれ」と渡されたのは、ペラペラの銀マット一枚。ベッドなんて当然ありません。おまけに、警報が鳴ると仮眠室でも大音量でブザーが響き渡る仕様。これは法律で定められた「適切な睡眠設備」とは到底言えません。心も体も全く休まらず、翌日の日勤はフラフラでしたね。これは労働環境として論外です。
第2位:鳴りやまないナースコール!「病院の設備管理」という名の不眠不休対応
これは同僚が担当していた病院の現場の話です。病院の設備管理は、特に夜間が過酷を極めます。「患者さんのベッドの角度が調整できない」「空調が効きすぎる」「テレビが映らない」…ありとあらゆる細かいクレームや要請が、ナースコール経由で設備管理室に飛んでくる。 仮眠なんて名ばかりで、1時間に何度も叩き起こされ、院内を走り回っていたそうです。これはもはや「緊急事態への備え」ではなく、完全に「夜間の通常業務」。これで宿直手当しか出ないというのは、どう考えてもおかしい。彼は 결국体を壊してその現場を去りました。
第1位:時間外の定期巡回と報告書作成が義務!「サービス残業」の温床現場
俺が若かった頃にいたオフィスビルの現場がこれでした。宿直の業務マニュアルには、22時、24時、2時、4時の計4回、全フロアの巡回と、各所のメーター検針が義務付けられていました。さらに、巡回後はその結果を詳細な報告書にまとめ、朝イチで所長に提出しなければならない。 当然、巡回と報告書作成で仮眠時間はほとんど削られます。しかし、タイムカード上は定時で業務を終え、翌朝まで「宿直」扱い。この巡回と報告書作成の時間は、完全に記録に残らない「サービス残業」でした。当時は「仕事だから仕方ない」と思っていましたが、今ならハッキリ言えます。これは悪質な労働時間の搾取です。
これらの例は、決して特殊なものではありません。ビルメン業界の多くの現場で、似たようなことが今も行われているはずです。あなたの宿直は、本当に大丈夫ですか?
4. 明日からできる!残業代をきっちり貰うための「証拠集め」完全ガイド
「自分の宿直も、もしかしたら残業代が出るかもしれない…」 そう思ったあなた。次にやるべきことは、感情的に会社に訴えることではありません。冷静に、そして客観的に「自分の宿直が労働時間に当たる」という証拠を集めることです。
もし将来、会社と話し合ったり、専門家に相談したり、あるいは法的な手続きを取ることになった場合、この「証拠」があなたの最大の武器になります。難しく考える必要はありません。明日から、いや、次の宿直からでも始められる具体的な方法を教えます。
① 業務日誌・日報のコピーまたは写真撮影 まずは公式な記録を押さえましょう。あなたが書いた業務日誌や日報は、その日にどんな業務を行ったかの強力な証拠になります。「23:30 〇〇テナントより漏水連絡あり、現場確認対応」「2:15 ポンプ異常警報発報、復旧作業」など、具体的な業務内容と時間を記録しているはずです。提出前に、スマホで写真を撮っておくだけでも構いません。これが基本中の基本です。
② 自分だけの「勤務記録メモ」を作成する 業務日誌には書ききれない、あるいは書きにくい細かな業務もあるでしょう。そこで、自分専用のメモ帳やスマートフォンのメモアプリに、できるだけ詳細な記録を残すことを強く推奨します。
- いつ(年月日、曜日)
- 何時から何時まで(例:22:05〜22:40)
- 誰から(〇〇部長、△△テナント担当者など)
- どんな指示を受けて(指示内容を具体的に)
- どんな業務を行ったか(作業内容を具体的に)
これを時系列で記録していきましょう。「仮眠中に電話で起こされた」「警報で対応した」といった記録は、宿直が労働時間であったことを示す上で非常に重要になります。
③ 会社の指示がわかるものを保存する 宿直中の業務に関する指示が、メールやビジネスチャットで飛んでくることもありますよね。それらは全て保存しておきましょう。「夜間に〇〇の点検をお願いします」といった内容のメールは、「宿直中に業務指示があった」という明確な証拠になります。マニュアルに定期巡回などが記載されている場合は、そのページの写真を撮っておくのも有効です.
これらの証拠集めは、一日や二日で終わるものではありません。できれば1ヶ月、理想は3ヶ月以上続けることで、あなたの勤務実態が「常態として労働を必要としている」ことを客観的に証明できるようになります。面倒に感じるかもしれませんが、この地道な作業が、後々あなたを助けることになるのです。
5. 自分の価値を安売りするな!ビルメンが賢く、長く働き続けるための思考法
ここまで、宿直と残業代についての具体的な話をしてきました。しかし、俺が一番伝えたいのは、単なるお金の話だけではありません。それは、**「ビルメンという仕事の価値と、自分自身の価値を安売りしてはいけない」**ということです。
俺たちの仕事は、建物の安全と快適を守る、社会にとって不可欠な仕事です。夜通し建物に泊まり込み、いつ起こるかわからないトラブルに備える。その責任とプレッシャーは、経験した者にしかわかりません。その対価が、数千円の宿直手当だけで本当に見合っているのでしょうか?
会社に言われるがまま、「これが当たり前だから」と思考停止してしまうのは、非常にもったいない。自分の働き方が、法律上どういう位置づけになるのかを知り、正当な権利を主張することは、決してワガママではありません。むしろ、それは自分たちの仕事に誇りを持ち、プロフェッショナルとして正当な評価を求める、当然の行為です.
もちろん、いきなり会社と事を構えるのは勇気がいるでしょう。だからこそ、まずは「知ること」そして「記録すること」から始めるのです。知識と証拠という武器があれば、いざという時に冷静に、そして対等に会社と話ができます。
ビルメンテナンスは、決して楽な仕事ではありません。しかし、経験と知識を積み重ねれば、長く安定して続けられる、やりがいのある仕事でもあります。そのためにも、不当な働かせ方で心身をすり減らしてはいけません。
自分の身は、自分で守る。そして、自分の仕事の価値を、自分で高めていく。 この業界で賢く、そして誇りを持って働き続けるために、今日の話が少しでもあなたの役に立てば、これ以上嬉しいことはありません。
あとがき
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。ビルメン歴20年超のベテラン、ビル管理人です。今回は、多くの同業者が疑問に思いつつも、なかなか声を上げられずにいる「宿直と残業代」の問題について、俺なりの経験と知識をぶつけてみました。この記事を読んで、「自分の働き方、一度見直してみようかな」と思っていただけたら幸いです。知識は最大の武器であり、自分を守る盾にもなります。一人で悩まず、まずは自分の勤務を記録することから始めてみてください。あなたのビルメンライフが、より良いものになることを心から願っています。また次の記事でお会いしましょう。