「火より煙が人を殺す」は本当だった…!ビルメン歴20年の俺が叩き込まれた煙の恐怖と避難術。

「火災が起きたら、とりあえず階段で逃げろ!」…なんて、甘く考えていませんか?実は、火災現場で命を落とす原因のほとんどは「煙」。俺たちビルメンは、設備の点検で嫌というほどその怖さを見てきました。この記事を読めば、あなたが避難訓練で教わった知識がアップデートされ、煙の本当の恐ろしさと、いざという時に自分と大切な人の命を守るための具体的な行動が分かります。現場のプロが叩き込まれた「生き残るための知恵」、あなたにもお教えします。
- なぜ「炎」より「煙」が圧倒的に危険なのか?その正体とは
- 生存率が劇的に変わる!煙からの避難「3つの鉄則」
- 俺たちの仕事が命を救う。防火設備と避難のリアルな関係
なぜ「炎」より「煙」が圧倒的に危険なのか?その正体とは
どうも、道玄坂の雑居ビルで働くベテランビルメンです。火災報知器の誤報対応には慣れっこですが、本物の火災は絶対に経験したくない。なぜなら、俺たちが一番恐れているのは炎の熱さよりも「煙」だからです。
まず、煙はとんでもないスピードで迫ってきます。横方向へは人が歩くのと同じくらいの速さですが、階段のような縦方向へは、人が全力で走るより速い、1秒間に3~5メートルもの速度で駆け上がってきます。あっという間に建物全体が煙に巻かれるんです。
そして、その煙の中身がヤバい。一酸化炭素やシアン化水素といった猛毒ガスの塊です。たった数回吸い込んだだけで、意識を失い、死に至ることもあります。さらに、煙は視界を奪います。目の前が真っ暗になり、方向感覚を失ってパニックに陥る。これが火災現場で起きることの現実です。毎日点検している慣れたビルでさえ、煙の中では出口が分からなくなるんですよ。
生存率が劇的に変わる!煙からの避難「3つの鉄則」
じゃあ、どうすれば煙から生き延びられるのか?消防の人に叩き込まれた、絶対に守るべき「3つの鉄則」があります。これはもう、理屈抜きで体に覚えさせてください。
鉄則1:徹底的に姿勢を低く! 煙は天井の方に溜まる性質があります。床から30cm程度の空間には、まだ新鮮な空気が残っている可能性が高い。避難する際は、ハンカチや服の袖で口と鼻をしっかり覆い、とにかく低い姿勢を保ってください。「四つん這い」になるくらいで丁度いいです。煙を吸わないこと、これが何よりも重要です。
鉄則2:壁伝いに移動せよ! 煙で視界が効かない中、闇雲に動くのは危険です。必ず壁に手をつき、それを頼りに移動してください。そうすれば、途中で転んだり障害物にぶつかったりするリスクを減らせますし、必ずどこかの出口や扉にたどり着けます。非常口の場所を体に覚えさせるんです。
鉄則3:ドアは「触って」から開ける! 避難経路にあるドアをいきなり開けてはいけません。ドアの向こうは、すでに火の海かもしれません。開ける前に、必ず手の甲でドアをそっと触ってください。もし熱ければ、その先は危険です。絶対に開けずに、別のルートを探しましょう。
俺たちの仕事が命を救う。防火設備と避難のリアルな関係
ここまで個人の避難方法について話してきましたが、最後に俺たちビルメンの仕事との関わりについて。 俺たちが日々点検している「防火扉」や「防火シャッター」、あれがなぜ重要か分かりますよね?あれらは、煙や炎を特定の区画に封じ込めるための「命の壁」なんです。あれが正常に作動しなければ、煙は一気に建物中に広がり、避難時間はほとんど残されません。
また、煙を外に排出する「排煙設備」も同じです。これらの設備が一つでも故障していれば、助かるはずの命が助からなくなる。俺たちの毎日の地味な点検作業が、いざという時の避難を助け、多くの人の命を左右する。そう思うと、ネジ一本の確認にも身が引き締まる思いです。この記事を読んだあなたも、防災設備の意味をもう一度考えてみてください。
あとがき 火災現場では、パニックにならず、知っていることを一つでも多く実践できるかが生死を分けます。今日お伝えした「煙の怖さ」と「避難の鉄則」は、ビルで働く我々だけでなく、すべての人に知っておいてほしい知識です。この記事が、あなたの防災意識を高めるきっかけになれば、これ以上嬉しいことはありません。日々の点検、そして避難訓練を、これまで以上に真剣に取り組んでいきましょう。ご安全に!