【業界20年の本音】病院ビルメンは地獄か、天国か?キラキラ職場の裏に隠された悪夢

「病院勤務は安定してそう」「ビルメンって楽なんでしょ?」そう思っていませんか?そのイメージ、残念ながら半分は間違いです。この記事では、ビルメンテナンス業界に20年以上身を置く私が、特に過酷だと言われる「病院ビルメン」のリアルな実態を暴露します。キラキラしたイメージの裏に隠された壮絶な日常、そして、それでもこの仕事を続ける理由とは。この記事を読めば、病院ビルメンという仕事の本当の姿がわかり、あなたのキャリア選択のミスマッチを防げるはずです。
- 華やかな医療現場の縁の下の力持ち!病院ビルメンの知られざる重要任務
- 悪夢その1:鳴り止まないPHSと真夜中の緊急出動!トイレ詰まりから始まる絶望
- 悪夢その2:ゴキブリ、ネズミ、そして…見えない敵との終わりなき死闘
- 悪夢その3:人の生死と隣り合わせのプレッシャー。霊安室と感染症の恐怖
- 地獄の先に見えた光。それでも私が病院ビルメンを続ける理由と未来
1:華やかな医療現場の縁の下の力持ち!病院ビルメンの知られざる重要任務)
皆さん、こんにちは。私はビルメンテナンス、通称「ビルメン」として働き始めて20年以上が経つベテランです。オフィスビルから商業施設まで、様々な現場を経験してきましたが、その中でも特に印象深く、そして最も過酷だったのが「病院」の現場です。
「病院ビルメン」と聞くと、皆さんはどんなイメージを持つでしょうか?「なんだか大変そうだけど、安定はしてそう」あるいは「専門的でかっこいい」といったところでしょうか。確かに、人々の命を預かる医療現場を支えるという使命は、大きなやりがいにつながります。空調、電気、給排水、消防設備など、院内のあらゆるインフラが正常に稼働するように24時間365日監視し、維持管理するのが我々の仕事。もし、手術中に停電が起きたら?集中治療室の空調が止まったら?考えるだけで恐ろしい事態です。そうした万が一を防ぎ、患者さんや医療スタッフが安心して過ごせる環境を守る。それが、私たち病院ビルメンの重要な任務なのです。
しかし、その重要任務の裏側には、世間の人々が想像だにしないような、壮絶な現実が横たわっています。これからお話しするのは、私が実際に経験してきた「悪夢」の数々。これは、決して大げさな話ではありません。もし、あなたがこの業界に足を踏み入れようと考えているなら、知っておいて損はないはずです。
2:悪夢その1:鳴り止まないPHSと真夜中の緊急出動!トイレ詰まりから始まる絶望)
ビルメンの日常は、常にPHS(もしくは業務用スマホ)の呼び出し音と共にあります。特に病院では、その頻度が桁違いです。「〇〇病棟のトイレが詰まりました!」「女子トイレの床が水浸しです!」といった水回りのトラブルは、まさに日常茶飯事。
ある深夜、仮眠室でうとうとしていた私を叩き起こしたのは、けたたましいPHSの音でした。出てみると、ナースステーションから切羽詰まった声が。「個室のトイレが大変なことに!すぐに来てください!」。現場に駆けつけると、そこはまさに地獄絵図。便器からは汚物があふれ、床一面に広がっていました。原因は、患者さんが誤って流してしまった大人用オムツ。ゴム手袋を二重にし、マスク越しにも襲ってくる強烈な臭気と戦いながら、便器に手を突っ込んで異物を取り出す作業。これを「業務だ」と割り切れるようになるまで、どれほどの精神力が必要だったか…。
嘔吐物の処理も日常です。特に、ノロウイルスが流行する時期は最悪。感染リスクと背中合わせで、淡々と処理を進めなければなりません。華やかな医療ドラマでは決して描かれることのない、これが病院ビルメンの偽らざる現実の一つです。昼夜問わず、いつ呼び出されるかわからない緊張感。そして、誰もが嫌がる汚い仕事。最初にぶつかる大きな壁と言えるでしょう。
3:悪夢その2:ゴキブリ、ネズミ、そして…見えない敵との終わりなき死闘)
病院という建物は、実に多くの生き物(?)を惹きつけます。特に、厨房やゴミ置き場周辺は、害虫や害獣たちの楽園となりがちです。ある夏の夜、空調機の点検で天井裏に入った時のことです。ヘッドライトの明かりに照らし出されたのは、無数の黒い影。一瞬、何が起きたのか分かりませんでした。次の瞬間、その影が一斉に動き出し、私に向かってカサカサと…!そう、ゴキブリの大群です。思わず声を上げそうになるのを必死でこらえ、震える手で点検を続けたあの恐怖は、今でも忘れられません。
ネズミとの戦いも熾烈です。配線をかじられて設備トラブルの原因になることもあり、粘着シートや捕獲器を仕掛けては、その処理に追われます。時には、天井裏で息絶えたネズミが悪臭を放ち、その発生源を突き止めるために、汚れた天井板を一枚一枚剥がしていく、なんてこともありました。
こうした害虫・害獣駆除は、専門業者に依頼するのが基本です。しかし、緊急時や初期対応はビルメンの仕事。「気持ち悪い」「怖い」なんて感情は押し殺し、対処しなければなりません。彼らとの戦いは、病院がそこにある限り、永遠に続くのです。
4:悪夢その3:人の生死と隣り合わせのプレッシャー。霊安室と感染症の恐怖)
病院ビルメンが他の現場と決定的に違うのは、「人の死」がすぐそばにあることです。私が最も精神的にこたえた業務の一つが、霊安室の管理でした。ご遺体が安置されている部屋の空調や照明が正常に機能しているか、定期的に点検に回るのです。静まり返った冷たい空気、独特の匂い。言葉では言い表せないほどのプレッシャーが、全身にのしかかります。ご遺族の悲しみを目の当たりにすることもあり、自分の仕事が人の尊厳に直結しているのだと、痛感させられる瞬間でもありました。
そして、忘れてはならないのが感染症のリスクです。結核やインフルエンザ、そして近年の新型コロナウイルスなど、感染症患者の病室へメンテナンスで立ち入ることも少なくありません。もちろん、防護服を着用し、マニュアルに沿って万全の対策は取ります。しかし、「もし感染したら…」という不安が頭をよぎらない日はありませんでした。目に見えないウイルスという敵と対峙する恐怖は、他のどんなトラブルとも比較にならない、特殊なストレスと言えるでしょう。自分だけでなく、家族を危険に晒すわけにはいかない。その一心で、日々、緊張の糸を張り詰めていました。
5:地獄の先に見えた光。それでも私が病院ビルメンを続ける理由と未来)
ここまで、病院ビルメンの「悪夢」ばかりを語ってきました。「そんなに大変なら、なぜ辞めないのか?」そう思われるのも当然です。実際、多くの同僚がこの過酷な現場を去っていきました。
しかし、それでも私がこの仕事を続けてこられたのには、理由があります。それは、何物にも代えがたい「やりがい」です。トラブルを無事に解決した時、看護師さんから「田中さん、ありがとう!助かったわ!」と心からの感謝を伝えられる瞬間。自分が止めたかもしれない医療を、無事に動かし続けることができたという達成感。それは、汚物処理の辛さも、深夜出動の眠気も、全てを吹き飛ばしてくれるほどの力を持っています。
また、病院という特殊な環境で培ったスキルと経験は、ビルメンとしてのキャリアにおいて、大きな財産となりました。どんなトラブルにも動じない精神力、人命に関わる設備を扱う責任感、そして高度な専門知識。これらは、他の現場では決して得られないものです。
病院ビルメンは、決して楽な仕事ではありません。むしろ「地獄」と呼ぶにふさわしい過酷な側面があるのは事実です。しかし、その地獄を乗り越えた先には、確かな成長と、社会を支えているという誇りが待っています。もしあなたが、覚悟を持ってこの世界に飛び込むなら、それは唯一無二のキャリアとなることを、20年選手の私が保証します。
あとがき
いかがでしたでしょうか。今回は、私の経験をもとに病院ビルメンのリアルな実態をお話ししました。厳しい内容も多かったかもしれませんが、これが現場の偽らざる声です。どんな仕事にも光と影があるように、病院ビルメンにも語り尽くせないほどの苦労と、それを上回るほどの喜びがあります。この記事が、あなたのキャリアを考える上での一助となれば、これほど嬉しいことはありません。最後までお読みいただき、ありがとうございました。